「あと1回だけ」という宣言には、受け取る相手がいません。誰かと交わした約束でもなければ、記録が残るわけでもない。それでも人はこれを、わざわざ宣言の形にして自分に言い聞かせます。リカイドのゲーム編には、その一言がそのまま2択になった質問があります。
「あと1回」は? に2,748人が答えて、「守れる」が16%、「だいたい延長」が84%でした。ゲーム編100問を票の偏りが大きい順に並べると6位、全1,000問で見ても62位です。8割を超えているので、勝負としてはついている部類に入ります。



時間は延びるのに、お金のほうは半分で止まります
同じゲーム編の数字と横に並べると、この84%の性格が少し見えてきます。「プレイ時間は?」は約2,800人が答えて「どっぷり長く」が88%。ここまでは同じ方向です。ところが「ガチャの引き際は?」になると、約2,400人のうち「出るまで回す」52%、「予算で止める」48%と、ほとんど真っ二つに割れます。
同じ「やめどき」を聞いているのに、片方は8割が延び、もう片方は半々で止まる。違いのひとつは、減っていくものが目に見えるかどうかにありそうです。ガチャには残高や課金履歴という数字がついてきますが、プレイ時間のほうには残高表示がありません。時計を見れば分かるはずなのに、その時計は自分で見にいかないと出てこない、という差はけっこう大きいのだと思います。


「あと1回」はゲームの外でも、同じ顔で出てきます
この構図はゲーム編だけのものではありません。生活編の「夜更かしは?」は約39,000人が答えて「しがち」が90%、「寝る前は?」は約36,000人のうち「ついスマホを見ちゃう」が90%。食べ物編の「深夜のラーメンは?」でも、約34,000人の75%が「罪の味でも食べる」を選んでいます。性格編の「夏休みの宿題は?」に至っては、約33,000人の74%が「最終日に泣いた」側でした。
編をまたいでも、その場の続きを選ぶ側がきれいに多数派になるという形は変わりません。近年よく耳にする「リベンジ夜更かし」という言葉も、昼のあいだ自由に使える時間が少ない人ほど、夜にその埋め合わせをしてしまう、という説明のされ方をします。ゲームの「あと1回」も、単に自制心の問題というより、一日のうちで自分の裁量が効く時間帯がそこしか残っていない、という事情と重なっている可能性はありそうです。
守れる16%は、意志の強さだけの話ではなさそうです
少数派のほうも見ておきます。16%を「意志が強い人たち」とまとめるのは簡単ですが、たぶんそれだけではありません。
翌朝の予定が動かせない人は、そもそも延長する余地がありません。対戦系のタイトルを主に遊んでいる人なら1試合の長さが決まっていて、区切りが向こうからやってきます。スタミナ制のゲームは、自分が決める前に遊べなくなります。家族と同じ部屋にテレビがある人、同居人が寝ている人も、外から区切りが入る側です。そして、そもそも「あと1回」と口に出さないタイプの人もいます。宣言をしない人には、守るも破るもありません。
区切りを自分で作らなくていい環境にいるかどうかは、けっこう大きく効いていそうです。裏を返せば、延長した84%の多くは、区切りを自分ひとりで引かなければならない状況にいた、ということでもあります。


「盛る」動機と逆に振れている数字です
最後に、この数字の取れ方そのものを一度うたがっておきます。
ゲーム編の問題はリカイド本編の30問には出てこないので、専用ページを開いた人だけが答えています。母数は2,748人。恋愛編やダーク・本音編が4万〜6万人台であることを考えると、一桁ちがいます。つまりこの84%は「ふだんからゲームを遊んでいて、しかもその話題で友達に当ててほしい人」の中での割合です。よく遊ぶ人ほど延長しやすいのは、ある意味で当たり前でもあります。
ただ、それを踏まえてもこの数字にはもう一つ面白いところがあります。リカイドの2択は、自分の答えを友達に当ててもらう形で遊ばれます。つまり最初から見られる前提の回答です。体裁だけを考えるなら、「守れる」に丸をつけておいたほうがきれいに見える質問でした。それでも84%が延長側に立ったということは、ここは見栄を張るところではない、という共通理解があるのだと思います。ゲーム編の中では、延長は隠すほどの欠点として扱われていません。
夜中に「あと1回」と言ったかどうかは、聞けば教えてくれる話です。ただ、聞くより当てさせたほうが、相手の生活の輪郭までまとめて出てきます。