何年も触っていないセーブデータを消す理由を挙げてみると、意外と数が出てきません。容量が足りない、本体を手放す、誰かに譲る。どれも自分の気持ちではなく、外側の事情です。逆に残しておく理由のほうは、理由と呼べるほどの言葉になりません。リカイドのゲーム編にある2択「昔のセーブデータは?」は、2,734人が答えて「消せない」が81%、「サクッと消す」が19%でした。


ゲーム編100問を票の偏りが大きい順に並べると、この一問は11位。全1,000問の中でも102位で、はっきり片側に寄ったグループに入ります。
切り上げる判断は、むしろ速い人たちです
執着の強い集団なのかというと、そうでもありません。同じゲーム編の「合わないゲームは?」は約2,700人が答えて、「すぱっとやめる」が86%。手に取ったソフトが自分に合わないとわかった時点で、9割近くが撤退しています。「攻略サイトは?」でも75%が「まず自力」を選んでいて、行き詰まったからといって粘り続けるタイプばかりではありません。
それなのに、終わったあとの扱いになると急に手が重くなります。「遊び終えたソフトは?」は約2,700人のうち91%が「手元に残す」。売る派は9%しかいません。「ソフトを買うなら?」でもパッケージ版が54%で、ダウンロード版をわずかに上回っています。
始めたものを切り上げる速さと、終わったものを手放す速さは、別々に決まっているようです。「やめる」と「捨てる」は続きの動作に見えますが、この人たちの中ではまったく違う操作として扱われています。


消す対象が、たいてい自分の名前で登録されています
セーブデータが手放しにくいのは、中身の性質のせいもありそうです。同じゲーム編の「主人公の名前は?」は約2,700人が答えて、「自分でつける」が80%。デフォルトのままで進める人は20%しかいません。
つまり大半のセーブデータには、自分がつけた名前のキャラクターが立っています。そこにプレイ時間と、到達地点と、そのとき選んだ装備が記録されている。持ち物というより、当時の自分の行動記録に近い形で保存されています。消す操作が、単なる空き容量の確保になりにくいのは、この構造のせいかもしれません。
自分が持っているものを実際より高く見積もってしまう傾向は、保有効果という名前でよく知られています。ただしセーブデータの場合、そこに積まれているのは買った金額ではなく、費やした時間そのものです。買い直せるソフトと違って、100時間ぶんの記録は同じものを二度と作れません。消すハードルが上がる説明としては、こちらのほうが素直に見えます。
サクッと消した19%は、投げやりな人たちではありません
残り19%を「思い入れがない人」で片付けるのは、たぶん正確ではないと思います。消す動機は、いくつも並びます。
家族と1台を共有していて、そもそも枠が足りない人。本体を買い替えるたびに引っ越し作業をやめた人。当時の下手なプレイを見返したくない人。そして、もう一度最初から遊ぶために消した人。最後のひとつは、消す行為が愛着の反対側にあるとは限らないことを示しています。同じソフトをもう一周したいから、前の記録を空ける。ゲーム編で「合わないゲームはすぱっとやめる」を選んだ86%と同じ気質の人が、ここでは19%側に回っている可能性もあります。



この数字は「まだ遊んでいる人」の81%かもしれません
最後に、データの取れ方を一度うたがっておきます。ゲーム編の回答者は2,500人前後で、恋愛編の6万人規模とはずいぶん違います。ゲームの2択を選んでクイズを作る人は、当然ながら今もゲームを続けている人に寄ります。
何年も前に遊ぶのをやめて、本体もどこかに片付けてしまった人の票は、この81%にほとんど入っていないはずです。現役でプレイしている人ほど、消さない理由も残す場所も持っている。そう考えると、この数字は「ゲームをやめられない人の中での、データを消せない率」として読むのが安全かもしれません。
押し入れの箱の話は聞きにくくても、セーブデータの話なら笑って聞けます。