リカイドの回答者は、日常のこまかい手間をかなり徹底して省きます。日常・習慣編の「ポイントカードは?」は約20,400人が答えて「全部持ってる」が18%、「断りがち」が82%。「お金の管理は?」は約24,100人のうち「家計簿・アプリでつける」が19%。「買い物メモは?」も約29,700人の52%が「記憶で勝負」でした。ダーク・本音編の「割り勘の1円単位は?」にいたっては、約37,900人の85%が「どんぶり勘定」です。
こまごました管理を持ちかけられると、8割前後が首を横に振る。その人たちが、支払い方法の質問ではきれいに割れました。「支払いは?」は29,112人が答えて、「キャッシュレス」が47%、「現金派」が53%です。



日常・習慣編100問を「割れなかった順」に並べると、この一問は10位。全1,000問の中でも105位です。近くに並ぶのは「買い物は直感で即買いか、さんざん迷うか」「寝るときの服はパジャマか部屋着か」といった、正解のない好みの質問ばかり。支払い方法は便利さで比べれば決着がつきそうな話に見えるのに、その群れの中にいます。
「省きたい」の中身が、途中で入れ替わっています
冒頭に並べた数字を、別の角度から見てみます。ポイントカードを断る、家計簿をつけない、メモを作らない、1円を数えない。この4つに共通しているのは、あとで役に立つかもしれない作業を、今やらないことです。将来の得と引き換えに、目の前の数十秒を守っています。
支払い方法の選択は、その形になっていません。キャッシュレスも現金も、レジで完結します。将来のための作業ではなく、その場の手数の話です。そして手数だけで比べると、どちらが軽いかは場面によって入れ替わります。読み取り機にかざすほうが速い店もあれば、アプリを開いて残高を確かめてコードを出すより、小銭を出したほうが速い場面もある。使えないレジもまだ残っています。
つまりこの2択は、価値観というより、その人がよく行く店の構成を聞いてしまっている可能性があります。答えが環境に左右される度合いが、日常・習慣編の中でもかなり大きい部類の質問です。きれいに割れたのは意見が半々だったからではなく、回答者の生活圏が半々だったから、という読み方もできます。
現金は、家計簿をつけない人の家計簿かもしれません
もう一つ、現金派53%側に効いていそうな事情があります。残高が目で見えることです。
性格・価値観編の「貯金は?」は、約28,500人が答えて「あるだけ使っちゃう」が65%。日常・習慣編の「お金の管理は?」は、さきほどのとおり81%が「ざっくり把握」でした。記録をつけず、それでも破綻せずに暮らしている人が多数派なのだとすると、その人たちはどこか別の場所で残高を把握しているはずです。
財布の中身は、開けた瞬間に一目で分かります。札の減り方は体感で覚えられるし、月末に薄くなっていれば、それ以上は使えません。記録の代わりに、物理的な減り方を使っている。そう考えると、家計簿19%と現金53%は矛盾しません。むしろ、家計簿をつけない人ほど、財布の視認性に頼る理由があることになります。


キャッシュレス47%側にも、面倒くさがりの理屈があります
念のため書いておくと、キャッシュレスを選んだ47%が几帳面な人たち、という話ではありません。こちらにも省きたい理屈はあります。小銭を数えなくていい、後ろに人が並んでいても焦らない、履歴が勝手に残るので家計簿をつける必要がそもそもない。記録を自動化する仕組みに乗ってしまえば、管理を放棄したままでも記録だけは残ります。
同じ「面倒くさい」から出発して、片方は財布の分かりやすさに、もう片方は自動化に着地している。数字が半々に割れたのは性格が二種類あるからではなく、同じ性格の逃げ道が二本あるからとも読めます。どちらを選んでも、家計簿をつけていないことに変わりはありません。


お金の使い方は、面と向かってたずねると少し重たくなる話題です。どちらで暮らしているかは一緒に会計をすれば分かることですが、その前に知っておけたほうが、割り勘のときに気は楽になります。