服の話は、たいてい「人による」で終わります。ところがこの一問だけは、めずらしくきれいに片側へ寄りました。
リカイドの生活編にある2択「服の色は?」に24,650人が答えて、「モノトーン」が82%、「カラフル」が18%。生活編100問の偏りランキングでは10位です。上位はほとんどが睡眠と風呂の質問——寝るときの靴下、体を洗う順番、夜更かし、寝る前のスマホ——で埋まっているなかに、服の話が一問だけ食い込んでいます。


隣の質問と、きれいに噛み合います
生活編には服まわりの2択がいくつかあり、並べると同じ方向を向いています。
「服の系統は?」で「カジュアル・ラフ」が76%(約2万3千人)。「靴は?」で「ほぼスニーカー」が66%(約2万4千人)。「服選びは?」では「当日の気分」が68%で、前日に決める人は32%でした(約3万4千人)。
ラフで、スニーカーで、朝に決めて、色はモノトーン。 ばらばらの質問なのに、出てくる像は一人の人物としてつながります。とくに効いていそうなのが「当日の気分」の68%で、朝に決めるということは、組み合わせを考える時間がその場にしかないということでもあります。
選んだ色ではなく、選ばずに済む色
モノトーンの実用的な強みは、外し方が少ないことです。白と黒とグレーは互いにけんかせず、去年買った服と今年買った服も並びます。朝の数分で上下を決めるなら、これほど都合のいい範囲はありません。
選ぶ回数が多いほど判断が雑になっていく、という話は「決定疲れ」という言葉で知られています。ただしこの効果の大きさについては議論もあり、服の色だけで説明しきれるほど単純ではないでしょう。それでも、服の色をあらかじめ狭めておくと朝の判断がひとつ減るのは、理屈として素直です。
同じ生活編には「部屋の模様替えは?」で「ずっと同じ配置」が80%、「新しい家電は?」で「壊れるまで今のを使う」が82%という数字もあります(それぞれ約2万5千人、約2万人)。いったん決まった形をあまり動かさないという傾向は、服だけの話ではなさそうです。



18%のカラフル側は、たぶん一枚岩ではありません
少ないほうを「派手好き」でまとめると、中身をだいぶ取り落とします。
仕事で着るものが黒や紺に固定されていて、その反動で私服だけ振り切る人。色から先に決めて、そこに形を合わせていく人。屋外の現場や子どもの送り迎えなど、遠くから見つけてもらえること自体に用がある人。単純に、顔まわりに黒を置くと似合わないと知っている人。そして、モノトーンという言葉を白黒だけの意味で受け取り、紺やベージュが多い自分はこちらではないと判断した人もいるはずです。
最後の一つは無視できません。この2択は、範囲の広さが釣り合っていないからです。
「モノトーン」と「カラフル」は、同じ大きさの言葉ではない
最後にデータの取れ方を疑っておきます。
モノトーンが指すのは白・黒・グレーとその周辺で、かなり狭い範囲です。対するカラフルは、残り全部——ではなく、実際には「色が多くて明るい」という強めの印象を伴います。ベージュ、紺、カーキ、くすんだ緑あたりは、どちらの言葉にも収まりきりません。 行き場のない中間層がモノトーン側に流れ込んでいるなら、82%はやや大きく出ていることになります。
もうひとつ、リカイドは自分の答えを友達に当ててもらうサイトです。服の色は、当ててもらう側から見て検証しやすい項目に入ります。会えば見えてしまう以上、ここで実態と違う申告をしても得がありません。見られる前提が、この質問については誠実さの側に働いていると考えられます。生活編の数字のなかでは、比較的信用していい部類でしょう。
クローゼットを開ければ一発で分かることを、あえて聞く。当たったときの「やっぱり」がいちばん気持ちいいのは、こういう質問かもしれません。