この質問には、答え合わせの方法がありません。誰かの家に上がっても、そのフタが「いつも閉まっている」のか「今日だけ閉まっている」のかは分かりませんし、自分の家のフタですら、閉めた記憶と実際の状態は必ずしも一致しません。それでもリカイドは聞きました。
「トイレのフタは?」に23,838人が答えて、「閉める」が89%、「開けっぱなし」が11%。日常・習慣ジャンルの100問を偏りの大きい順に並べると6番目に入る、かなり寄った一問です。


几帳面さの数字とは、まったく噛み合いません
これを「日本人は几帳面だから」で片づけると、同じジャンルの他の質問とぶつかります。
「部屋は?」は「きれい好き」が23%で「散らかりがち」が77%(約2万8千人)。「洗濯物は?」は「すぐたたむ」が33%、「山になりがち」が67%(約2万1千人)。「提出物・郵便物は?」に至っては「すぐ出す」が26%です(約2万7千人)。片付けや整理を聞く質問は、そろって3割前後。部屋は散らかり、洗濯物は積み上がり、郵便物は放置される。その同じ人たちが、トイレのフタだけは89%閉めています。


1秒で終わる習慣と、30分かかる習慣
境目は、たぶん時間です。同じジャンルで9割近い数字が出ている質問を並べると、性格が見えてきます。「エレベーターの『閉』ボタンは?」は「すぐ押す」が87%(約3万1千人)、「歯磨き粉は?」は「最後まで絞り切る」が86%(約2万4千人)、「靴下が左右バラバラだったら?」は「ちゃんと揃える」が73%(約2万5千人)。
どれも、その場で完結する動作です。逆に3割前後にとどまっている洗濯・片付け・提出物は、まとまった時間と、始めるまでの決心が要ります。ついでに言えば「消耗品の替え時は?」は「完全に使い切ってから」が72%(約2万1千人)——買い物という別の工程を挟んだ途端に、几帳面さは消えます。
つまりリカイドの回答者は、きれい好きではなく「その場でできることはやる人」ということになります。フタ閉めは、手を洗いに向かう動線のついでに片手で終わる。片付けとは同じ引き出しに入っていない行動です。



閉めない11%を、ずぼらとは呼べません
1割ちょっとの「開けっぱなし」側にも、事情はいろいろありそうです。
そもそもフタのない便器の物件に住んでいる人。掃除のたびに開けるので、開いているのが定位置になっている人。家族の中で最後に使う人が決まっていて、自分の担当ではない人。閉めると中が乾かず、においや汚れが残ると考えている人。逆に、閉めるのは衛生のためだと聞いて習慣にした人と、閉めると換気されないと聞いて開けている人が、まったく同じ理屈で正反対の結論に立っていることもあります。フタの是非は、家庭ごとに別々の常識が根づいている領域です。だからこそ、実家を出て一緒に暮らし始めた相手と最初にぶつかるのが、この手の質問だったりします。
見られない行動を聞くと、何が起きるか
最後に、この89%をそのまま信じていいのかを考えておきます。
リカイドは友達に見せて答え合わせをする前提のクイズです。人には、他人に見られる場面で望ましいとされる答えを選びやすい傾向があるとされています。社会的望ましさと呼ばれる話で、衛生やマナーに関わる質問ではとくに出やすいものです。フタ閉めは「閉める人のほうがきちんとしている」という空気があるぶん、多少は盛られている可能性があります。
ただし、この行動には他人の目がほとんど届きません。嘘をついて得られるものが薄い質問でもあります。そう考えると、盛りよりも記憶のほうが怪しいのかもしれません。閉めているつもりで、急いでいる朝は開けたまま出ている。フタの89%は、実際の閉まり率というより、「自分は閉める側の人間だ」という自己申告の割合として読むのが、いちばん正確な気がします。
家族に聞くと高確率でもめる話題ですが、クイズの形なら角が立ちません。