リカイドの回答は、友達に見せる前提で押されます。自分でクイズを作り、リンクを送り、相手が何問当てられるかを見る遊びなので、どの選択肢もいずれ誰かに読まれることが分かった状態で選ばれています。その事情がいちばん効きそうな一問が、ダーク・本音編にありました。「友達の成功は?」——読むのは、まさにその友達です。43,768人が答えて、「素直に喜べる」が79%、「ちょっと妬ける」が21%でした。



同じ編の、同じ人たちの答え
ダーク・本音編は、言いにくい本音を選びやすくするために質問文をやわらかく作ってある編です。実際、他の2択ではかなり正直な数字が出ています。「陰口は?」は約29,300人が答えて「言っちゃうことある」が77%。「負けず嫌い?」は約50,400人で「かなり」が79%。恋愛編の「嫉妬は?」にいたっては約65,000人のうち87%が「するタイプ」でした。性格・価値観編の「周りからの評価は?」も、「けっこう気にする」が79%です。
陰口は言う。負けず嫌い。嫉妬もする。周りの評価も気になる。その同じ人たちが、友達の成功だけは79%が素直に喜べる。並べると噛み合わないように見えますが、この一問はダーク・本音編100問を偏りの大きい順に並べたとき12位で、けっして目立たない位置ではありません。ここだけ、はっきり「いい人」の側に票が寄っています。
妬みと祝福は、たぶん同時に起きています
矛盾に見える理由のひとつは、2択という形式そのものかもしれません。友達の合格や昇進の報せを受け取ったとき、心の中で起きることはたいてい一色ではないとされています。おめでとうと打ちながら、自分の現在地が一瞬よぎる。よぎったうえで、それでも嬉しい。
2択はそれを分けさせます。分けるとき選ばれるのは、強いほうの感情ではなく、口に出せるほうの感情になりがちです。アンケートの回答が周囲に望ましいとされる方向へ寄る傾向は「社会的望ましさバイアス」として広く知られていて、匿名の調査でも起きるとされています。リカイドの場合は匿名ですらありません。読み手の顔がはっきりしている状態で押すぶん、傾きはむしろ大きくなっていてもおかしくないでしょう。


「ちょっと妬ける」を押した21%のほう
見られると分かっていて、あえて妬けるほうを選んだ人が2割います。この選択には、いくつも違う事情がありそうです。
自分の中の妬みを自覚していて、それを隠すほうが気持ち悪いと感じる人。相手との関係が十分に近く、正直に書いても壊れないと踏んだ人。同期や同学年など、比較の土俵がはっきり重なっていて、素直に喜べると書くほうが嘘になる人。あるいは、クイズとして「妬ける」のほうが友達に当てられそうだと計算した人。リカイドは当ててもらう遊びなので、実際の気持ちより「自分らしいと思われている答え」が選ばれることもあります。
質問文が「ちょっと妬ける」と、あらかじめ量を小さくしてある点も見逃せません。「妬む」ではなく「ちょっと妬ける」。この緩衝材がなければ、2割はもっと減っていた可能性があります。逆に言えば、緩衝材があってなお8割が反対側を選んだことになります。
8割の側にも、居場所はあります
ここまで数字を疑ってきましたが、「素直に喜べる」を選んだ人が全員かっこつけていると読むのも、たぶん行きすぎです。友達の成功が本当に嬉しい場面は普通にあります。まったく同じ土俵にいない相手の成功、長く苦戦していた相手の成功、自分が応援してきた相手の成功。妬みは比較から生まれるものだとよく言われますが、比較が起きない関係のほうが実際には多いはずです。
そして「素直に喜べる」を押した瞬間、その人は少なくとも、そうありたいと表明しています。表明が実態より先に来るのは、そんなに悪いことでもありません。


聞きにくいことほど、面と向かうと確かめにくくなります。妬まれているかどうかを直接聞ける相手は、たぶんいません。クイズの2択なら、答えが返ってくることがあります。