「ここだけの話なんだけど」と切り出されて、そのまま聞いてしまった経験は、たいていの人にあると思います。聞いた側は、その瞬間から保管する側に回ります。心の闇編の2択「友達の秘密は?」に36,005人が答えて、「墓場まで持っていける」が82%、「実はしゃべっちゃうかも」が18%。編内の偏りランキングでは7位でした。


秘密は守る。ただし陰口は言う
とらが指しているのは「陰口は?」です。結果は「言っちゃうことある」が77%、「絶対言わない」が23%(約28,800人)。秘密を墓場まで持っていける人が82%、陰口を言うことがある人が77%。 この二つは、ほとんど同じ集団の中に同居しています。
自己申告が崩れているように見えますが、本人たちの中ではおそらく別々の引き出しに入っています。秘密は預かりもので、誰から預かったかがはっきりしている。渡した本人の顔が浮かぶぶん、動かしにくい。一方、陰口の対象はその場にいない人で、しかも預かった覚えのない情報です。「守る」と決めた瞬間が記憶にあるかどうかが、線の位置を決めているように見えます。
秘密を漏らさない、と答えた人の頭にあるのは、たぶん「わざわざ話す」場面です。実際に情報が漏れるのは、そういう場面ばかりではありません。共通の知人と話していて、相手がすでに半分知っているように見えたとき。話の流れで否定しそこねたとき。この二つは、本人の実感としては「しゃべった」に入りません。


隠したいものは、みんな持っています
心の闇編には「自分だけの秘密は?」という質問もあります。「ある」が79%、「ほぼオープン」が21%(約43,900人)。8割近くが自分の秘密を持っていて、8割強が他人の秘密を守れると答えている。この二つの数字が近いのは、たぶん偶然ではありません。預ける側の経験があるから、預かる側でも慎重になる。 順序としては自然だと思います。
ついでに周辺の数字も並べておきます。「イラッとしたとき?」は「わりと顔に出る」が79%(約47,300人)。「押しに弱い?」は「弱い」が81%(約45,400人)。感情は漏れるし、押されると断れない。それでいて秘密だけは守れる、と答えている。心の闇編が描く自画像は、思ったより一貫していません。 口は堅いが、顔と態度は堅くない、という格好です。



「しゃべっちゃうかも」の18%は、正直者かもしれません
少数派の18%を、口の軽い人たち、と決めつけるのは早いです。この選択肢の文面は「実はしゃべっちゃうかも」で、断定ではなく留保になっています。過去に一度うっかりした記憶がある人、家族やパートナーには話してしまう自覚がある人、相手や状況によっては自信がないと素直に見積もった人。確実に守れるとは言い切らなかった人、と読むほうが実態に近そうです。
同じ編の「『いい人』と言われると?」では「都合のいい人かもと不安」が23%(約44,100人)、「うまくいかないとき?」では「人のせいにしたくなる」が24%(約36,800人)。心の闇編では、自分について格好のつかない側を選ぶ人が、質問が変わってもだいたい2割前後で現れます。18%はその帯とほぼ同じ高さです。特定の欠点というより、自分を甘く見積もらない層が一定の割合で常にいる、と言い換えられます。
「守れる」は、聞かれた場所によって変わります
この数字には、上振れが含まれている可能性が高いと思います。リカイドの2択は、友達に出題して答え合わせをする遊び方が主流です。「友達の秘密は?」という質問は、まさにその友達に向かって答えることになる。目の前の相手に「しゃべっちゃうかも」と申告するのは、かなり勇気がいります。
自分に不利なことは控えめに、望ましい側は多めに申告してしまう傾向は、アンケート全般で広く知られています。82%は、実際に守れる人の割合というより、守るつもりでいる人の割合として読むのが安全だと思います。
とはいえ、そのつもりがあること自体は、けっこう大事です。秘密が漏れる場面の多くは、悪意ではなく、預かった自覚が薄かったところから起きます。「これは預かりものだ」と一度でも思った相手は、話の流れで否定しそこねる回数がたぶん少ない。82%という数字は、実績ではなく構えの表明です。構えているかどうかで、結果は実際に変わります。
「あなたは秘密を守れる人ですか」と面と向かって聞くのは、なかなか難しい。2択の形で出すと、答えは軽く返ってきます。返ってきたのが18%側だったとしても、それはたぶん、自分を正直に見積もれる相手だということです。