朝の教室、始業の五分前。前の席の子が椅子ごと振り返って、両手を合わせてきます。「昨日ほんとに無理だった、ちょっとだけ見せて」。ノートはもう自分の机に出ています。その手を止められるかどうかを、リカイドは2択で聞いていました。
「宿題を写させてと言われたら?」に35,195人が答えて、「見せちゃう」が82%、「断る」が18%。ダーク・本音ジャンルの100問のうち、7番目に票が片側へ寄った質問です。このジャンルは後ろ暗い本音を白状させにいく設計なので、そもそも偏りが出やすいのですが、そのなかでも上位に来ました。


断れないのは、やさしさとはかぎりません
同じジャンルに「押しに弱い?」という質問があって、こちらは「弱い」が81%、「断固断れる」が19%(約4万人)。宿題の82%対18%と、ほとんど同じ比率です。頼まれごとの中身がノートでも他のことでも、断れる人の割合はだいたい一定ということになります。
そうなると、この8割は「友達思いだから見せる」というより、「押されると断れないから見せる」に近いのかもしれません。「ちょっとしたルール違反は?」で「バレなきゃOK」が75%と出ているのも同じ方向を向いています。写させる行為への抵抗が小さいところへ、断る腕力の弱さが乗る。二つが重なった結果の8割、という読み方ができます。
もうひとつ、見せる側の事情もあります。性格・価値観ジャンルの「夏休みの宿題は?」では「最終日に泣いた」が74%。つまり見せてあげる立場の人のほうも、多くは前もって余裕を持って終わらせるタイプではありません。ゆうべ自分がどれだけ焦ったかを覚えているうちは、目の前で焦っている相手を突き放しにくい。貸し借りではなく、記憶の共有として渡している面もありそうです。



断る18%が背負っているもの
少数派を悪者にしないために、こちらも掘っておきます。断る側にもいくつか種類があります。写させたら相手のためにならないと本気で考えている人。自分の答えに自信がなくて、まちがいを広めたくない人。過去に写させて自分まで怒られた経験のある人。単に、貸し借りのやりとり自体が面倒な人。
共通しているのは、その場でいちばん角が立つ役を引き受けている点です。断ると空気が一瞬止まりますし、断った理由をわざわざ説明もしません。同じジャンルの「『いい人』と言われると?」で「都合のいい人かもと不安」を選んだのが23%いるあたり、この18%と重なる層はありそうです。見せるのがやさしさで、断るのが冷たさ、という単純な図ではありません。
答えが友達に見られる、という条件
リカイドの2択は、作った本人が答えたあと友達に送られ、相手が正解を当てにきます。答えは最初から見られる前提です。この質問でいうと、「見せちゃう」は付き合いのいい人に映り、「断る」はかたい人に映りかねません。8割という数字には、その分の色がついている可能性を差し引いて読むほうが安全でしょう。
とはいえ、ダーク・本音ジャンルには「実はしゃべっちゃうかも」「人のせいにしたくなる」といった、あまり格好よくない選択肢が並んでいます。そこで正直に押す人が一定数いる場所ですから、極端に盛られているとも考えにくい。見栄と本音がせめぎ合ったうえでの8割、というあたりが実像に近いのだと思われます。

