この2択には、ネコババするという選択肢がありません。
リカイドの「100万円拾ったら?」に24,796人が答えて、「届ける(けど一瞬迷う)」が50%、「迷わず届ける」が50%。ダーク・本音ジャンルの100問のなかで2番目、6ジャンル600問全体でも15番目に票が割れた質問です。ただし、割れているのは行動ではありません。どちらを選んでも、この24,796人は全員そろって交番に向かっています。



同じ人たちは「バレなきゃOK」と答えています
気になるのは、周りの質問との落差です。
「ちょっとしたルール違反は?」では「バレなきゃOK」が7割を超えました。「ルールは?」でも「ときには破ってもいい」が7割強。「ズルい人を見ると?」に至っては、「許せない」より「世渡り上手だなと思う」のほうが多数派です。そして「絶対バレない不正があったら?」という直球の質問では、「誘惑に勝てる」が3割、「正直自信ない」が7割でした。
バレない不正には7割が自信がないと言い、それでも100万円は全員が届ける。この二つは、たぶん矛盾していません。人が心の中で線を引いているのは善悪の位置ではなく、規模のほうだからです。
100万円は、たぶん大きすぎます
道端で厚みのある封筒を見つけた最初の1秒を想像してみます。
そこで働くのは、たぶん倫理ではありません。誰か見ていなかったか、防犯カメラはどこにあるか、この金額を落とした人はいま何をしているか。100万円は、落とした側が全力で探す金額です。届け出れば持ち主から報労金を受け取れる制度があることも、わりと広く知られています。持ち帰ったときの面倒くささと、届けたときの正しさ、そして少しの見返りを並べると、答えは自然に片側へ寄ります。
一方で「ちょっとしたルール違反」には、探しにくる持ち主がいません。少しの遅刻、進入禁止の近道、コピー機の私用。誰も損をしていないように見えて、追及もされない。だから7割が「バレなきゃOK」と言えるのだと思います。金額が大きい問題ほど人は正しくなり、名前のつかない小さな場面でだけ本音が出る。 ダーク・本音ジャンルの数字を並べていくと、その順番はけっこうはっきり見えます。


分かれているのは、拾った1秒の記憶です
では、ぴったり半分に割れたこの2択は、何を分けているのでしょうか。
「迷わず届ける」を選んだ50%には、本当に迷わない人もいれば、実際に落とし物を届けた経験があって手続きの流れを知っている人もいるはずです。迷う自分をあまり想像したくない、という人もいるでしょう。「一瞬迷う」を選んだ50%も同じで、本当に迷った記憶がある人と、迷うのが普通だと思っているからそちらを選んだ人が混ざっています。どちらの選択肢も、行動としては同じ場所に着地しています。
ここでリカイドらしい事情がひとつあります。この2択は、友達に送って当ててもらうクイズの問題です。「迷わず届ける」は少し聖人めいていて、答え合わせであまり話がふくらみません。「一瞬迷う」のほうが人間くさく、当てるほうも当てやすい。この50%は、迷った人の割合というより、迷ったと言えた人の割合に近いのかもしれません。
数字だけ見れば、これはただの引き分けです。ただ中身を開けてみると、割れているのは拾った瞬間に自分が何を思ったかの記憶であって、そのあとの行動ではありませんでした。人柄が出るのは、たいていそういう質問のほうです。

