ゲーム編には、名前をつけるかどうかを聞く2択がふたつあります。結果は、ほとんど反対を向いていました。「主人公の名前は?」は2,606人が答えて、「自分でつける」が79%、「デフォのまま」が21%。いっぽう「ポケモン、ニックネームは?」は約2,300人が答えて、「つける派」が47%、「つけない派」が53%です。ゲーム編100問を偏りの大きい順に並べると、前者は13位、後者は下から数えたほうが早い位置にいます。


名前入力画面で、手が止まる理由
はじめてソフトを起動して、ムービーが終わって、最初に操作を求められるのが名前入力画面という作品は今も少なくありません。ひらがなの表とカーソル、決定ボタン、右上に残る文字数。ここで一度手が止まった記憶がある人は、けっこういるはずです。本名にするか、いつも使っている名前にするか、その場の思いつきにするか。
79%は、その手間を毎回引き受けています。デフォルトの名前がすでに用意されている作品でも、わざわざ消して打ち直す。決定を押すまでの数十秒は、ゲームの内容とはまったく関係のない時間ですが、そこを省略しない人が8割近くいる計算になります。
自分の分身と、預かりもの
ポケモンのほうが割れたのは、名前をつける相手の立場が違うからだと考えると、数字とは噛み合います。主人公は、プレイヤーの代役として画面の中に立っています。名前がないと呼びようがなく、デフォルト名のままだと、会話ウィンドウに出てくるのは自分ではない誰かです。
一方でポケモンには、すでに種族としての名前があります。図鑑にも公式の呼び方が載っていて、ニックネームをつけないままでも会話は成立します。むしろつけてしまうと、対戦や交換で相手に伝わらなくなる、後から見返して恥ずかしくなる、といった実務的な不都合が出ます。名前をつける行為が愛着の表明であることは共通していても、片方は必要で、もう片方は任意なのだとしたら、47%対53%は自然な割れ方です。



しろの往生際の悪さも、じつはゲーム編の多数派です。「昔のセーブデータは?」は約2,600人が答えて「消せない」が81%、「サクッと消す」が19%でした。自分の手で名前をつけて、進めて、置いてきたデータは消しにくい。いったん自分のものになったものを手放しにくくなる傾向は「保有効果」としてよく知られていて、ゲームのセーブデータのように金銭的な価値がないものにも当てはまるとされています。名前をつける79%と、消せない81%は、たぶん地続きです。
「デフォのまま」の21%は何を選んでいるのか
2割はデフォルト名を使います。ここも一枚岩ではなさそうです。
主人公にも公式の名前があると考えていて、そちらを作品の一部として尊重する人。攻略記事や実況配信ではデフォルト名で呼ばれることが多く、話が噛み合うほうを取る人。名前を考える段階で止まりたくない、早く本編に入りたい人。そして、かつて勢いでつけた名前を数十時間見せられ続けた経験から学んだ人。
このうち3つ目は、他の数字とも合います。同じゲーム編の「始める前の設定は?」は約2,400人が答えて「いじり倒す」が54%、「デフォでいい」が46%。感度もキー配置も明るさも、いじらずに始める人が半分近くいます。それでも名前だけは8割が触るのだとすれば、名前入力は「設定」ではなく「本編の一部」として扱われているのかもしれません。
この数字には、但し書きが要ります
ゲーム編は後から追加された編で、回答数は約2,606人。食事編や恋愛編が3万〜6万人であることを考えると、一桁少ない規模です。トップページから遊べる6編ではなく、わざわざ追加編を選んだ人たちの答えだ、という前提を外すと読み違えます。
つまりこの79%は、「ゲームの話を友達とやりたい人」に寄った数字です。名前入力に数十秒かけることを面倒だと感じる層ほど、この2択にたどり着く前に別の編を選んでいる可能性があります。実際の割合はもう少し平らかもしれない、くらいの幅は見ておいたほうがよさそうです。


主人公の名前は、聞かれないかぎり一生知らないままの情報です。当てられそうで当たらない2択は、だいたいこういうところに落ちています。