授業中はほとんどしゃべらなかった人が、部活の試合では一番大きい声を出していた。いつも敬語だった先輩が、犬の動画を見た瞬間だけ声が裏返った。ギャップというのは、だいたいこういう一瞬の記憶の形で残ります。
リカイドの恋愛編にある「ギャップ萌えは?」は、52,300人が答えて「強く感じる」が85%、「一貫してる人が好き」が15%でした。恋愛編100問を票の偏りが大きい順に並べると5位、全1,000問でも49位です。恋愛編は1問あたり5万人前後が答える、リカイドでもっとも母数の大きい編なので、かなり安定した数字だと言えます。


ギャップは、相手の中ではなく見る側の頭の中で起きています
とらの言い分は、この質問の仕組みをよく突いています。ギャップというのは相手が持っている性質ではなく、こちらが先に立てた予想と、実際に見たものとの差です。だから、予想を持っていなかった人にギャップは発生しません。初対面でいきなり犬の動画に反応した人を見ても、それは単に犬が好きな人です。
つまりギャップ萌えが成立するには、先に第一印象が要ります。ここで恋愛編の別の質問と噛み合わないように見える数字が出てきます。「好きになるきっかけは?」は約58,000人が答えて、「中身から」が61%、「見た目から」が39%。多数派は、見た目では決めないと言っています。
ただ、この二つは矛盾していません。ギャップに必要なのは「見た目で好きになること」ではなく「見た目や雰囲気から何かを予想すること」だからです。むしろ中身を見てから決めると答えた61%の人ほど、印象と中身を比べる工程を丁寧に踏んでいるとも言えます。ギャップ萌えが8割を超えるのは、その工程の副産物なのかもしれません。



求める人は8割、隠せる人は2割
とらの指摘を数字で追うと、少し面白い形が見えてきます。ダーク・本音編に「イラッとしたとき?」という質問があって、約51,000人のうち「わりと顔に出る」が79%、「完璧に隠せる」が21%でした。同じ編の「自分だけの秘密は?」でも、「ある」が79%です。
感情は漏れるけれど、言わないことは持っている。並べると、意図的に別の顔を作り分けられる人はそれほど多くない、という絵になります。ギャップ萌えを求める側は85%いるのに、ふだんの表情を制御できる側は2割ほど。数が合っていません。
もっとも、これは悲観する話ではないはずです。ギャップは作り込まなくても生まれます。仕事中の顔と休日の顔、家族の前と友達の前。本人が演じ分けなくても、場面が勝手に別の顔を引き出します。だから85%の人が期待しているのは、たぶん演出されたギャップではなく、うっかり出てしまったほうの顔です。
心理学の分野では、最初の印象からプラスに転じたときのほうが好意が大きくなる、という考え方が「ゲインロス効果」の名前で知られています。ただし条件によって出方が変わるという指摘もあり、いつでも同じように働くと考えるのは早そうです。
「一貫してる人が好き」15%が見ているもの
少数派の15%は、ギャップが嫌いだと言っているわけではありません。選択肢の言葉は「ギャップは苦手」ではなく「一貫してる人が好き」です。反対の好みではなく、別の好みが置かれています。
一貫しているというのは、次に何が来るか読めるということです。機嫌の波が小さい、言うことが変わらない、人によって態度を変えない。こうした性質を最優先に置く理由は、いくつも想像できます。感情の起伏が大きい相手に振り回された経験がある人もいれば、単純に、予測できる相手といるほうが疲れない、という人もいるはずです。
さらに言えば、ギャップという言葉には「表と裏がある」という響きが混ざります。それを魅力と読む人と、警戒すべき情報と読む人がいて、15%は後者に寄っている、という整理もできます。恋人選びの基準としては、むしろこちらのほうが長く付き合いやすいという見方もあります。


クイズにすると、簡単すぎる問題です
最後に、この質問をリカイドとして評価しておきます。
8割を超える質問は、当てるゲームとしては易しい部類です。相手をよく知らなくても、多数派に賭ければだいたい当たります。当ててもらう側から見ると、物足りないかもしれません。
ただ、答え合わせのあとに残る話は悪くないはずです。誰のどんな瞬間にギャップを感じたか、という具体例は、その人が普段どこを見ているかをそのまま映します。クールだと思っていた、しっかりしていると思っていた、怖いと思っていた——ギャップの話は、先に立てていた予想のほうを白状することになります。そちらのほうが、正解より情報量があります。