リカイドの食べ物編には、甘いものを戦わせる2択がいくつも入っています。そして、その結果はおどろくほど決着がつきません。「ケーキを選ぶなら?」は約38,200人が答えて、いちごショート50%、濃厚チョコ50%。「おやつに選ぶなら?」も約36,400人でグミ50%、チョコ50%。「ホットケーキ vs フレンチトースト」に至っては、約35,400人が答えて、やはり50%対50%でした。「かき氷のシロップは?」でもいちご48%、ブルーハワイ52%です。
甘いものは好みが人の数だけあるから票が散る。しばらくそう思って眺めていたのですが、一問だけ様子が違いました。「ミスドで選ぶのは?」です。38,934人が答えて、ポンデリングが79%、オールドファッションが21%。食べ物編100問を票の偏りが大きい順に並べると10位、全1,000問の中でも134位に入ります。


「もちもち」は、ほかと同じ土俵に立っていません
ポンデリングの立ち位置は、ドーナツの中でも特殊です。輪になった生地がいくつもつながった形も、噛んだときの弾力も、ほかのドーナツと比べる基準が見つかりません。いっぽうオールドファッションは、外がさっくりして中がしっとりという、ドーナツとして正統な質感です。つまりこの2択は、甘さの好みを比べているようでいて、実際には「変わった食感」と「定番の食感」を並べているのかもしれません。
食べ物編を見わたすと、食感を軸にした質問はたしかに片側へ寄りやすいようです。「フライドポテトは?」は約38,600人が答えて、細めカリカリが77%、太めホクホクが23%。「カレーの辛さは?」も約38,100人のうち78%が甘口〜中辛でした。味そのものの優劣ではなく、口の中で起きることを聞かれると、人の答えは思ったよりそろいます。


選ばれているのは、味だけではないかもしれません
リカイドの2択には、ふつうのアンケートにない条件がひとつあります。答えた本人が、その回答をそのまま友達に当てさせる。選んだほうは必ず誰かに見られます。この前提を置くと、選択肢は「おいしいほう」だけでなく「自分を説明しやすいほう」としても選ばれることになります。
その目で二つの名前を見ると、性格がずいぶん違います。ポンデリングは形も名前もひと目でわかる看板商品で、答えとして置けば「わかる、それっぽい」と言ってもらいやすい。対してオールドファッションは、名前からして通好みの響きがあって、選ぶと少しだけ玄人の顔になります。当ててもらう前提の回答としては、前者のほうが置きやすいはずです。79%という数字には、その分の上乗せが混ざっている可能性があります。


オールドファッションを選んだ21%について
21%は、人数にすると8,000人を超えます。少数派と呼ぶには大きすぎる集団です。
理由はひとつではないはずです。コーヒーに合わせる前提で、甘さの軽いほうを取る人。あの割れ目の縁が好きな人。もちもちした生地が得意ではなく、さっくりした歯ざわりでないとドーナツと呼べない人。時間が経っても食感が落ちにくい、手や口のまわりが汚れにくい、という実用的な選び方もあります。そもそもミスドに行く目的が新作ではなく「いつものやつ」で固定されている人もいるでしょう。
ここで並べてみたいのが、同じ食べ物編の「行列のできる店は?」です。約32,200人が答えて、「並んででも食べたい」が28%、「空いてる店でいい」が72%でした。話題性より落ち着きを取る人が7割いる集団だと考えると、看板より定番に手が伸びる人が2割いることは、そこまで不思議ではありません。



好きなドーナツの話は、面と向かってすると「へえ」で終わりがちです。でも、その人が最初にトレイへ載せる一個を当てられるかどうかは、案外その人をどれだけ見ているかの目安になります。答え合わせは、レジに並んでいるあいだにでも。