先に、少ないほうの話から始めます。行く店を決めてから出かけて、その店で用を済ませて帰る人。リカイドの遊び編にある2択「ショッピングは?」に33,679人が答えて、「目的の店だけ」を選んだのは24%でした。残る76%は「ぶらぶら回遊」です。遊び編100問の偏りランキングでは17位。9割揃うような質問ではありませんが、4人に3人が同じ側という、はっきりした差がついています。


買う気が強いから回っている、わけではなさそうです
回遊が多数派なら、買い物そのものへの熱量も高そうに見えます。ところが数字はそちらに伸びていません。心・価値観編の「セールでは?」は「燃える」が37%、「必要なものだけ」が63%(約2万人)。「ポイ活は?」に至っては「コツコツやる」が22%で、「めんどくさい」が78%です(約2万2千人)。
ぶらぶら回る人は4人に3人いるのに、安く買うための工夫に乗る人は3〜4人に1人。買い物を、いかに得をするかの競技として見ている人は多数派ではない、ということになります。回遊は購入を増やすための行動ではなく、購入とはやや別の目的を持った行動に見えます。
その別の目的が何かは、隣の質問がわりとはっきり示しています。同じ遊び編の「ウィンドウショッピングは?」は「楽しい」が81%、「買わないなら疲れるだけ」が19%(約2万7千人)。買わない前提でも楽しいと答える人が8割。回遊派の実体は、買い物客というより滞在客なのだと思います。
粘り強さの話でもありません
「決まるまで回る」と言うと粘着質な印象になりますが、同じ遊び編の「クレーンゲームは?」を見ると、「取れるまでやる」45%に対して「2回で撤退」が55%(約2万7千人)。ひとつの目標に食い下がる人は、むしろ半分を切っています。
回遊は、目標に粘る行動ではありません。むしろ目標を決めないまま移動し続けられる状態のほうが心地よい、という選好に近い。決めてしまうと、その店を出た時点で買い物が終わってしまいます。終わらせないために、次の店がある。「ちょっとそこまで行くなら?」で「歩く」が75%、「自転車」が25%(約3万5千人)という数字とも、地続きに見えます。移動そのものが目的化しやすい人たちが、そこそこ多い。



24%の直行組を、意志の弱さの逆と見るのは早い
目的の店だけと答えた24%の側を、決断が速くて効率的な人たち、とだけまとめると取りこぼしが出ます。実際にはいくつも事情がありそうです。時間が限られていて回る余裕がない人。人混みで消耗しやすい人。荷物が増えるのが嫌な人。同行者を待たせたくない人。そして、選択肢が増えるほど決められなくなるので、あえて視界に入れないようにしている人。
最後の型は、数字の裏づけがあります。心・価値観編の「決められないときは?」は「人に決めてほしい」48%、「最後は自分で決める」52%(約3万1千人)で、ほぼ半々。決めることのしんどさは、多くの人にとって現役の問題です。回遊しないという選択が、決断力ではなく、決断を増やさない工夫として選ばれていることは十分ありえます。
ついでに言えば、この質問は誰と行くかによって答えが変わりやすい種類のものです。ひとりなら回遊、友達となら直行、という人もいるはずで、リカイドの2択はそこまでは聞いていません。数字は「どちらかといえば」の集計だと思って見るくらいがちょうどいい。
一緒に出かける前に分かっていると助かるのは、たぶん行き先より歩き方のほうです。三時間ぶらつく前提の人と、一時間で帰る前提の人が、待ち合わせの時点で同じ計画だと思っているとつらい。聞きにくいことではないのに、なぜか出かけてから発覚しがちな一問でした。