レジまであと3人。頭上のメニューには季節限定の長い名前が並んでいて、目では一応それを追っているのに、頼むものはもう決まっている。あの数十秒のあいだに、その人の好みはけっこう正直に出ます。
リカイドの2択「スタバで頼むのは?」に12,989人が答えて、「甘いフラペチーノ系」が77%。「コーヒー系」は23%でした。食べ物ジャンルの100問のなかでは、16番目に片側へ寄った問題です。


普段の飲み物は、ほとんどお茶と水です
とらの指摘は、実はデータのほうにも出ています。同じリカイドで日常の飲み物を聞くと、まるで違う顔が返ってくるのです。
「目覚めの一杯は?」では「お茶・水」が8割。「普段の飲み物は?」でも「お茶系」が8割近くを占めて、「炭酸」は2割ほどにとどまります。数字だけ並べると、かなり地味な飲み方をしている集団です。その同じ集団が、スタバのレジの前では77%が甘いほうへ行く。日常と店先で、選ぶものがきれいに入れ替わっています。
飲み物には、たぶん2つの役割があります
これは矛盾というより、飲み物に別々の仕事が割り当てられていると考えるほうが自然かもしれません。家や職場で口にするものは、渇きを埋めるためのもの。わざわざ店に入って自分のお金で頼むものは、味わうためのものです。
そう見ると、ほかの2択もつながってきます。「飲み会で頼むなら?」は「甘いサワー系」が7割強で、「ビール系」は3割弱。「シメに食べるなら?」でも「スイーツ」が7割を超えて、ラーメンを上回っています。外に出て、自分で選んで何かを頼む場面になると、この人たちは一貫して甘いほうへ寄っていきます。
つまりスタバの77%は特別な現象ではなく、「外で頼むときの選び方」がそのまま出ただけ、という読み方ができます。渇きはお茶で埋めておいて、店では別の目的のために並んでいる、というだけの話です。



「コーヒー系」23%は、ひとかたまりではありません
少数派のほうも、中身は一つではないはずです。
まず、カフェインを目的にしている人。パソコンを広げるために席を確保しに来ているなら、注文は作業の入場料のようなものになります。甘いものは手がべたつくから避ける、という実務的な理由もありそうです。
次に、甘い飲み物がそこまで得意でない人。ただし「コーヒーは?」という別の2択では「ミルク・砂糖入り」が6割強で、「ブラック」は4割弱でした。コーヒー系を選んだ23%のなかにも、砂糖を入れる人はそれなりに混ざっている計算になります。「甘くない派」というより「フラペチーノほどではない派」のほうが、実態に近いのかもしれません。
季節や値段で動く人もいるでしょう。夏は冷たくて甘いもの、冬はホットのコーヒー、と切り替えている人にとっては、そもそも二択にしづらい質問だったと思います。
この数字が誰の数字なのかは、一度うたがっておきます
リカイドで遊んでいるのは、自分で2択を作って友達に送りつける人たちです。カフェの注文は年齢や生活リズムでかなり動く行動なので、この77%が世の中全体の比率と一致している保証はありません。
もうひとつ気になるのは、この質問が人前でする行為を聞いている点です。注文は店員さんにも連れにも見られますし、写真に撮られることもあります。実際にはコーヒーばかり頼んでいる人が、答えるときだけ華やかなほうを選んでいる可能性は残ります。
ただ、出題する側から見ると、そこはあまり問題になりません。当てにいくのは「この人は普段どっちを頼みそうか」という印象で、正解はその人が選んだほうだからです。ずれているとしたら、そのずれ自体がその人の見せたい姿ということになります。

