「大丈夫」は、日本語のなかでもかなり働きすぎている単語です。体調を聞かれた返事にもなり、レジ袋を断る言葉にもなり、相手を気遣う声かけにもなる。ひとつの単語で肯定と否定の両方を担当しているので、外国語として学ぶ人には評判が悪いとも言われます。
そしてリカイドの2択では、2,924人のうち85%が「大丈夫と聞かれたら大丈夫と言っちゃう」と答えました。正直に話すほうは15%です。


反射で出るのは、嘘をつきたいからではなさそうです
「大丈夫」が口から出る速度は、考えて答えるより明らかに速い。理由としてよく挙げられるのは3つあります。心配させたくない、事情を説明するのが面倒、そして自分でも大丈夫かどうか分かっていない。
3つめが案外多いのではないか、というのがこのデータを見ての印象です。しんどさは自分の中でもすぐには言語化できないので、集計が終わる前に返事の期限が来てしまう。とりあえず「大丈夫」で場をつないでおく、という運用になります。
そう考えると、これは嘘というより会話をなめらかにするための定型句に近い。相手の心配に対して「受け取りました」だけを返している状態で、内容の報告は含まれていません。



リカイドで面白いのは、85%に自覚があることです
この2択は、友達に見られる前提で答えるものです。それでも85%が「言っちゃう」を選んでいます。つまりこの人たちは、無意識にごまかしているのではなく、自分がごまかす人間だと知っていて申告しているわけです。
さらに言うと、あなたの友達がこの問題であなたの答えを当ててきた場合、次に「大丈夫」と言っても信じてもらえない可能性があります。当たったという事実が、そのまま見抜かれている証明になってしまう。回答が本人由来だからこそ起きる、ちょっと不気味な効き方です。
正直に話す15%は、たぶんいちばん扱いやすくて、いちばん助けやすい人たちです。とはいえ多数派が急に正直になれるわけでもないので、聞く側が二回目を用意しておくくらいがちょうどいいのかもしれません。二回目の代わりにクイズを送る、という手もあります。答えを選ぶだけなら、口に出すよりずっと簡単です。

