「カップルアカウント」という言葉に、なんとなく「よく見かけるもの」という印象を持っている人は少なくないはずです。SNSを開けばおそろいの小物や記念日の投稿が流れてきますし、プロフィール欄が二人ぶんになっているアカウントを見た記憶も、一度や二度ではないと思います。
ところが、リカイドの2択「カップルアカウントは?」に11,522人が答えた結果は、その印象とずいぶん違いました。「作りたい」が9%。91%が「こっそりでいい」を選んでいます。恋愛ジャンルの100問を見渡しても、ここまで片側に寄った問題はほかにありません。


見かける回数と、やっている人数は別です
SNSで「よく見る」と感じるものは、投稿している人の数ではなく、投稿の回数で決まります。カップルアカウントは記念日、旅行、誕生日と、イベントのたびに更新されるものです。1組が年に何十回も投稿すれば、見ている側の記憶には何十組ぶんの重さで積み上がっていきます。
そもそも、SNSで発信する側に回る人自体がそれほど多くありません。リカイドの別の質問「SNSでの遊びは?」でも、「発信する側」は4割台にとどまり、半分以上が「見る専」を選んでいました。公開している人の景色だけが目に入り、公開していない大多数は最初から視界に入らない。体感と実数がずれる理由は、この構造でだいたい説明がつきそうです。
実際、付き合っていることを職場や学校でいちいち話していない人は珍しくありません。二人で撮った写真をカメラロールに何百枚とためこんだまま、外に出すのは風景と食べものだけ——そういうアカウントのほうが、たぶん世の中には多く存在しています。

「こっそりでいい」の91%は、一枚岩ではありません
「見せたくない人が91%」と一言でまとめると、たぶん読み違えます。恋愛ジャンルのほかの数字を横に並べてみると、この多数派はいくつかの違う動機の寄せ集めに見えてきます。
ひとつめは、外に出す必要を感じていないタイプです。「恋人への報告・連絡は?」では「あってもいい」が8割を超えていて、二人のあいだで共有すること自体には前向きな人が多い。内側で足りているなら、わざわざ外側に置き場所を作る理由がありません。
ふたつめは、演出そのものが照れくさいタイプ。「プロポーズは?」で「ロマンチックに演出」を選んだのは2割ほどで、残りは「自然な流れでいい」でした。「恋人の呼び方は?」でもニックネーム派は2割程度です。関係をわざわざ形にするのを避ける傾向は、恋愛ジャンル全体でかなり一貫しているようです。
みっつめは、終わったあとのことまで考えているタイプ。共同で運用するアカウントは、別れたときの片付けが個人のものより確実に面倒になります。冷めているというより、運用上の判断として現実的なだけかもしれません。



この9%は、少し低めに出ている可能性があります
最後に、数字そのものを疑っておきます。リカイドの回答は、あとで誰かに当ててもらう前提で選ばれています。自分の作ったクイズを送る相手には、友達もいれば、いま付き合っている相手も含まれます。その状況で「作りたい」を押すのは、匿名のアンケートに答えるより少しだけ勇気が要るはずです。
だとすると、本当の願望は9%より上にあるかもしれません。とはいえ、91%という多数派がひっくり返るほどの差にはならないでしょう。そして、この質問がクイズとして面白くなる理由も、たぶんそこにあります。ほとんどの人が「こっそりでいい」を選ぶ問題だからこそ、相手が9%側だとわかった瞬間の情報量が大きい。
面と向かって「うちら、アカウント作る?」と切り出すのは、なかなか難易度の高い質問です。こういうものこそ、当てっこの形にすると聞きやすくなります。